
少子化が極端に進行し、出生率は1を割り込んだ。政府は「国家存続危機」と宣言し、女性の生殖健康を徹底管理する法律を制定した。二十歳以上の全女性に対し、年二回の婦人科検診が義務化された。拒否すれば社会保障の停止、就職・昇進の制限、場合によっては罰金。どんなにキャリアを積んだ女性も、どんなに気丈でプライドの高い女性も、この日だけは逃れられない。自分がいまだ「生殖可能な雌」であることを、冷たく、容赦なく思い知らされるイベント。それが「国民生殖健康診断」——通称「婦人科の日」だった。
朝の指定会場は、かつての市民ホールだった。スーツ姿のキャリアウーマン、大学の女子学生、専業主婦、フリーター——年齢も立場も異なる女性たちが、静かに列をなす。誰もが顔を強張らせ、唇を噛んでいる。特に気の強い女性たちは、普段の鋭い眼光を殺し、ただ俯いて順番を待つしかない。
受付で名前を告げると、別室へ通される。「検診効率のため」と告げられ、スーツのスカートと下着をすべて脱ぐよう指示される。上着とブラウスはそのまま。ストッキングも脱がされ、素足で冷たい床に立つ。下半身を完全に晒したまま、薄いカーテンで仕切られた待機列に並ばされる。誰もが両手で前を隠そうとするが、看護師の「手を離してください。妨害行為とみなします」という静かな声に、震える指を下ろすしかない。
カーテンの隙間から、隣の女性の白い太ももが小刻みに震え、必死に耐える横顔が見える。列が進むたび、内診台の金属音と、押し殺した吐息が響く。前の女性の番では、看護師の甘い声が聞こえてくる。「ほら、我慢してね。動かないで」ギシギシと台が軋み、「んっ……んぅ……」と喉の奥で絞り殺すようなうめきが漏れる。誰も大声を出さない。周囲に知人がいるかもしれないから。声を上げれば、自分の弱さが露呈する。それがわかっているから、みんな唇を噛み、ただ耐える。
内診台は最新型だ。脚を閉じようとしても厚いクッションが内側から押し返し、抵抗を許さない。医師がスイッチを押すと、ピッという小さな電子音。静かに、しかし確実に脚が最大限まで開かれていく。続いて看護師が近づき、マジックテープのベルトで両太ももをギュッと固定する。「安全のためです」と微笑むが、その目は逃がさないという決意に満ちている。太ももの柔らかな肉が少し食い込み、赤い痕を残す。
「性経験は?」医師は淡々と問う。答えが「なし」でも「あり」でも、処置は変わらない。少子化対策のため、分泌物採取と生殖機能チェックは全員必須だ。まず冷たい薬液が肛門からゆっくり注入される。直腸吸収型の強制発情剤——「妊娠適性確認薬」と名付けられたものだ。瞬時に体温が上昇し、乳首が硬く尖り、クリトリスが熱く脈打つ。秘部が自然と濡れ、蜜が太ももを伝う。心は必死に拒絶する。「こんなの……嫌だ……私は仕事で戦ってるのに……」プライドの高いキャリアウーマンほど、頭の中で叫びが渦巻く。なのに体は裏切る。熱い疼きが下腹部を支配し、腰が勝手にくねる。「どうして……体が、こんなに……感じてしまうの……」戸惑いと羞恥が混じり、涙が頰を濡らす。
さらに強いライトが点灯。白く眩しい光が、クリトリスから肛門の細かな皺まで、すべてを丸見えにする。担当医師は男性だ。知らない男の視線が、最も秘められた場所に突き刺さる。「見ないで……お願い……」心の叫びは届かない。医師の指がジェルを塗り、ゆっくりと肛門を押し広げていく。違和感と圧迫感が波のように押し寄せ、太もものベルトが食い込んで痛いほどだ。
分泌物採取の管が挿入される。敏感な粘膜を優しく擦りながら、蜜を吸い取っていく。モニターに採取量が表示され、基準未達なら「もう少しだけ」と医師が告げる。管が深く押し込まれ、角度を変えられ、甘い刺激が追加される。体がビクビク震え、腰が浮きそうになるが、ベルトがそれを許さない。続いてオイルを塗られた指が恥垢を掻き出し、敏感な襞を執拗に撫で回す。滑らかな感触が、快楽の波を呼び起こす。「おしりの力、抜いてください」「もう少し頑張って」「深呼吸して」看護師の声は優しいのに、処置は容赦ない。
隣の台から「やめて……もう無理……!」という切ない声が漏れる。普段は部下を叱りつける気の強い上司も、今日だけは同じように喘いでいるかもしれない。そう思うと、羞恥がさらに深まる。
クリーニングが終わると管が抜かれ、脚が静かに閉じる。ベルトが外され、赤い痕が熱く疼く。震える手で下着とスカートを穿き、顔を真っ赤にしたまま会場を出る。外の空気は冷たいのに、体はまだ熱い。太ももの痕が布に擦れ、ライトの白い光と男性医師の視線が脳裏に焼き付く。
どんなに気の強い女性も、この日だけは自分が「女性」であることを、体の芯から思い知らされる。仕事で勝ち取った自信も、プライドも、すべて剥ぎ取られ、ただの「生殖可能な体」として扱われる屈辱と、強制された快楽の余韻。それを抱えたまま、日常に戻るしかない。
次の検診まで、この甘く残酷な記憶を、誰にも言えず胸に秘めて。

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